アナエロビック・ファーメンテーションとは?

最近よく聞く「アナエロビック」とは、一体何なんだろう?

と思う方も多いと思います。

元々は、コスタリカのコーヒー生産者の一人が作り上げた精製方法です。

今では、多くのコーヒー生産国でも生産されています。

そんな新しい精製方法を、出来るだけ解りやすく解説して行きたいと思います!

嫌気性発酵

アナエロビック・ファーメンテーションとは

嫌気性発酵(けんきせいはっこう)をした精製方法です。

嫌気性発酵とは、「空気を嫌う微生物」によって発酵を促すと言うものです

今までは、好気性発酵が一般的で主にナチュラルなどがこれに当たり天日乾燥時に空気・水分・果実により「空気を好む微生物」によって発酵を促しフレーバーの良いコーヒーを精製していました。

今まで嫌気性発酵で発酵させた人はおらず、その為今までの発酵工程とは違うので味わいや風味も大きく変わって来ると言うことです。

元々は、ワインなどで古くから使われていた発酵方法です。

コスタリカのコーヒ生産者が、好奇心から始まりコーヒーにも利用できるように研究し、作り上げた精製方法で世界的にも高く評価されています。

発酵を促すことで、ユニークなフレーバーを作ることが出来ることで「商品の個性」が発揮されることに繋がると、多くの生産者が取り入れて来ています。

  • シナモン
  • いちごジャム
  • 完熟ピーチ

などの独特なフレーバーの物もあります

全てがこのようなフレーバーになるわけではありませんが、そこは「高品質」・「経験」・「研究心」によって変わってくるのだと思います。

それも又、個性かと思います。

アナエロビック・ファーメンテーション精製方法

ナチュラル

収穫したコーヒー果実を、水を張った水槽に入れます

そこで、浮いてきた果実は未成熟などの欠点豆なので取り除きます

沈んでいる果実のみを使用し、密閉タンクに詰めていきます

詰め終わると、 発生するガスのみを排出する逆止弁の付いた蓋をして空気の流入を塞ぎます

タンク内にある「空気を好む微生物」によって発酵し始め、ガスを発生させます

その後ガスが溜まり空気が無くなると、「空気を好む微生物」は次第に死滅していきます

今度は、「空気がない状態を好む微生物」によって、更に発酵が進むと言う構図です

発酵時間は、48時間するところが多いように思います

生産者によっては96時間かける人もいるようです

気温・湿度など地域環境によって、発酵状況も違うので発酵時間は生産者がどのようなコーヒーを作ろうとしているかによって変わってきます

それが終わると、通常のナチュラル同様天日乾燥させ、その後は通常道りの保管方法で出荷を待ちます

ウォッシュド

ウォッシュドの場合、良質なコーヒー果実が2ロット必要になります

収穫したコーヒー果実を、水を張った水槽に入れます

浮いてきた果実は、欠点豆なので使いません

沈んだ果実のみを使用し、先ず1ロット分をパルパー(果肉を取り除く機械)にかけて果肉を取り除き、ミューシレージリムバー(ミューシレージを取り除く道具)で、ミューシレージを取り除きます

必要なのは、ミューシレージの液体です

沈んだ果実のみを使用して、残りの1ロット分をパルパーにかけ果肉を取り除きます

ミューシレージの付いている状態で、タンクに入れます

1ロット目のミューシレージを流し込み、良く混ぜて逆止弁の付いた密閉容器の蓋をして12~20時間発酵させます

発酵時間はナチュラル同様、地域環境やどのようなコーヒーを作ろうとしているかによります

通常よりもミューシレージの量を多くすることで、発酵によりミューシレージ成分を多くコーヒー豆に浸透させる事が目的です

それにより、甘味や香りの強いコーヒーが期待できるようになります

発酵が終わると、水で良く洗い通常通り天日乾燥や日陰でゆっくり乾燥させて一定期間保管し出荷を待ちます

2ロット必要になるので、その分価格が高くなってしまうのもうなずけます

生産者によっては、1ロットのみでミューシレージの付いた状態で発酵させるケースもあります

生産者の意図や作業工程業の問題などもあり、統一された物ではありません

ダブルアナエロビック・ファーメンテーション

2回嫌気性発酵をするということです

収穫したコーヒー果実を、水を張った水槽に入れます

そこで、浮いてきた果実は未成熟などの欠点豆なので取り除きます

沈んでいる果実のみを使用し、密閉タンクに詰めていきます

詰め終わると、 発生するガスのみを排出する逆止弁の付いた蓋をして空気の流入を塞ぎます

48時間発酵します(1回目の嫌気性発酵)

その後、パルパー(果肉を取り除く機械)で果肉を取り除きます

取り除いたミューシレージの付いた状態で、タンクに入れ同じように蓋をして空気の流入を塞ぎます

96時間発酵させます(2回目の嫌気性発酵)

発酵が終わったら、お湯や水で良く洗い天日乾燥や日陰でゆっくり乾燥させて一定期間保管して出荷を待ちます

カーボニックマセレーション

  • 「カーボニック」= 炭酸(二酸化炭素)
  • 「マセレーション」= 漬ける

の意味で、二酸化炭素に漬けて発酵させると言った意味になります

元々は、ワインの精製方法で一部の地域で行われているようです

日本では有名な「ボジョレー・ヌーヴォー」が、この発酵方法で生産されています

それを、コーヒーに応用した事が始まりです

「ナチュラル」と「ウォッシュド」があり、途中までは「アナエロビック」と同じです

「コーヒー果実」又は「果肉を取り除いた状態の豆」を特殊なタンクに入れて、 発生するガスのみを排出する逆止弁の付いた蓋をして空気の流入を塞ぎます

その後、タンク内の「酸素」を抜く為に「二酸化炭素」を注入します

そうすることで、タンク内の「酸素」が押し出され「酸素」が無くなり「アナエロビック」よりも早く、嫌気性発酵に進むことが出来るようになります

但し、「アナエロビック」に比べると、とても管理が繊細で「気温」「湿度」などの管理を徹底する必要があります

気温や湿度の違いにより、甘味や香りが大きく変わってしまう為、大掛かりな設備を要することになります

アナエロビックは、必要な道具にあまりお金をかけなくても気兼ねなく導入できますが

カーボニックマセレーションは、気温や湿度を管理できる設備投資が必要になり、気兼ねなく導入することは難しいと言えます

但し導入メリットは、とても強いフレーバーで驚くようなフルーティ感の物も珍しくありません

他のコーヒーとは、明らかに違うと言う独自性はありますが、その代わり価格もお高めになってしまいます

乾燥方法は、「アナエロビック」と同様になります

アナエロビックの途中の工程で、「二酸化炭素」を注入し、「酸素」を追い出し環境管理をするという点がアナエロビックとは違う精製方法です

イーストファーメンテーション

発酵させる工程で、「イースト菌」を添加して精製する方法

アナエロビックと、途中までは一緒です

気密性のタンクに、イースト菌を添加して蓋をして発酵させます

その後は、アナエロビックと同じ工程で乾燥させます

イースト菌を添加することで、通常の嫌気性発酵で活動する微生物とは異なる微生物で発酵を促し、アナエロビックとは異なるフレーバーを作り出す方法になります

ワイルドイーストファーメンテーション(天然酵母発酵)

ナチュラル精製方法の際、「イースト菌」を添加する精製方法です

アフリカンベットなどに広げて乾燥させる過程で、イースト菌をスプレーなどで吹きかけて添加し、自然発酵を促すと言うものです

通常のナチュラルよりも、フレーバーが引き立つ目的で使用されます

ラクティックファーメンテーション

発酵させる工程で、「乳酸菌」を添加して発酵する精製方法です

アナエロビックと、途中までは一緒です

気密性のタンクに、乳酸菌を添加して蓋をして発酵させます

その後は、アナエロビックと同じ工程で乾燥させます

乳酸菌を添加することで、通常の嫌気性発酵での微生物ではなく、細菌により発酵することでフレーバーや味わいが異なり、酸味が和らぎヨーグルトのようなまろやかな味わいを作り出す方法になります

インヒューズドコーヒー

インフューズドとは、「浸す」「漬け込む」「染み込む」という意味です

コーヒーの精製段階や生豆の状態で、シロップ・フルーツジュース・スパイスなどで漬けて置きし、強烈なフレーバーを染み込ませたコーヒーです

コーヒー以外の物を使って、フレーバーなどのインパクトのある商品は問題もあり、「他の物と漬け込んでいる」という文言もなく普通に販売されていることです

情報の透明性が欠けていることは、大きな問題になります

バリスタの大会やコーヒー品評会などでは、原則禁止となっております

コーヒーの実以外の物を使用して作られた物は、生産者の努力やバリスタの技術などが報われなくなってしまうことを危惧してのことでしょう

進化が止まらないコーヒー生産技術

アナエロビック・ファーメンテーションから始まり、次々と新しい精製方法が生まれて来ています

昨今の気候変動の影響で、通常の生産では「味や風味が落ちて来ている事」や「生産量も又落ちて来ている」のが現状です

このような生産技術が、更に品質が低下した場合でも発酵技術の向上などで美味しいコーヒーを生産していくことが可能になります

今後は、生産地域も変わり今飲んでいる高品質のコーヒーは飲めなくなる可能性が高いです

コーヒー生産者やコーヒー業界も、試行錯誤して何とか美味しいコーヒーをお届けできるように、変化や進化が必要な時代になって来た表れだと感じます

コーヒーは、ワインのように歴史が長くないので「まだまだ伸びしろはある」と思います

今後もっと変わった精製方法が生まれてくる可能性が高く、次はどのような精製方法のコーヒーが生まれてくるのか楽しみですね!

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